花びし

東一条通鞠小路通の交差点を少し西に入ったところ、そこに「花びし」があった。
エビチリコロッケが美味く、マスターが無口で恐かった。
注文を受けたり、お会計をするのはおかみさんで、
マスターは黙々とカツやコロッケを揚げるのみで、客の方など見向きもしなかった。
ところが今年の夏ごろ食べに行ったときのこと、
この無口のマスターが珍しく「ありがとうございました」と目を合わせて言ってくれた。
それからしてまもなく、いつの間にかシャッターが閉まり、テナント募集の札が貼られていた。


今日、同じくいつも無愛想な「たく味」のご主人の姿を見て
そういえば花びしがなくなったのはあのあとすぐだったな
ということに気づいたという話。